姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「私は……嫌いだから。
こういう青春イベントみたいなの。」


運動会も、文化祭も、修学旅行も。今まで全部休んでた。

みんなが浮かれて楽しそうにしているのを見るのが、なんでかすごく嫌だから。


「………今回だって、
と……っ友達がいなきゃ来なかったもの。」

独り言のような呟きに、無表情のままの近江涼介は俯く私をじっと見る。


「どうだった?初めての青春イベントとやらは。」


ちら、と近江涼介に目線をやると、感情の読めない、けどまっすぐな眼差しとぶつかった。

それで思わずドキッとして、バツが悪くなってそっぽを向く。



「――暑いしダルいしもう最悪!何回帰りたいって思ったか!」

大きなため息つきの私の感想に、近江涼介は何のコメントもしない。
だから私は喋り続けた。

「知ってた?金髪が本物のバカでなんと米をそのまま鍋で炒めてて!
炊くって意味を辞書で引き直せって感じでしょ?!

クイズラリーも初めてやったけど、そこで榛名聖と会ってなんか煽られて!
グループの奴ら使えないから最後は私がめちゃくちゃリードして……」


それで、これでと最後の小テストのことまで喋り切って、ハッと我に返る。
待って、ここまで近江涼介の相槌すら聞いていないと。


「ちょっと!ちゃんと聞いてた――……」


近江涼介の顔を見てびっくり。笑ってる。
うっすらだけど、こっちを見て微笑んでいる。

「……何!」

微笑みの意味がわからず、顔を顰める。
なんか、バカにされてる?

「別に?楽しかったようで何より。」

「楽しかったなんて言ってませんけど。」

コイツ何を聞いていた?終始文句しか言っていないのに。

近江涼介もう無表情。
笑顔の余韻はどこにもない。

遠くでチラつくキャンプファイヤーを無感情に見つめている顔を訝しく見つめる。
やっぱり何を考えているのかわからなかった。
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