姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
***
体育館を出て、校舎に続く渡り廊下を抜ける。
授業中で誰もいない静まり返る廊下を、保健室に向かって姫と並んで2人で歩いていた。
俺の隣を黙って歩く姫の飄々とした横顔を盗み見る。
髪を上げているから白くて細い首筋が顕になっていて、その下に続く柔らかな女らしい体躯のラインに息を呑む。
(クソッ。さっきの奴らが変なこと言うから……!)
思わず視線が下へと降りてしまった自分に嫌気が差して視線を逸らす。
コイツは俺の怪我を心配してここにいるって言うのに、一瞬でも変な目で見てしまって最悪だ。
そう思うのと裏腹に、心臓の音が鳴り止まなくてほんの少し顔が熱い。
これ以上2人きりでいるのが居た堪れなくなって、立ち止まって姫の方に向き直った。
「心配してるとこ悪いけど、俺別に怪我とか」
「知ってるわよ、無傷でしょ?」
さっきの深刻そうな顔はどこへやら、しれっとした顔でそう言った姫に時が止まる。
俺の表情が消えたことも気にしないで、姫は淡々と喋り続けた。
「広瀬真って意外と運動神経も反射神経いいでしょ?
さっきも咄嗟にボールを腕で受けてたし。あの程度の球威じゃ怪我しないでしょ。
これはね、作戦よ、作戦。授業をテイよく抜けるためのね。」
フフンとしたり顔で笑う顔は性格の悪さを体現している悪魔の顔だ。
心配かけたのに邪な気持ちを持ってしまって、罪悪感を覚えたことを後悔して眉を顰めた。
「お前……っ!人をサボるためのダシに使ってんじゃねぇよ!」
「おーっほっほっほ!恨むならボールぶつけられた不運な自分を恨むのね!
言っとくけどこれ、広瀬真も共犯だから!」
「テメ、ふざけんなよ!?ブス!!」
「何とでも言いなさい!あ、ブスって言ったのは100倍返しするけど。
さて、私はこのまま教室に制服と荷物取りに行って旧校舎に行くけど、アンタはどうする?」
姫は軽やかに駆け出して俺の数歩前に出ると、ひらりと振り返って悪戯っぽく無邪気に笑う。
その顔を不覚にも可愛いと思ってしまって、悔しさに心の中で「クソ」と呟いた。
「…………俺も行く!」
「じゃ、決まりね!レッツゴー!」
誰もいない廊下を、コソコソと会話しながら姫と2人で駆け抜けた。
体育館を出て、校舎に続く渡り廊下を抜ける。
授業中で誰もいない静まり返る廊下を、保健室に向かって姫と並んで2人で歩いていた。
俺の隣を黙って歩く姫の飄々とした横顔を盗み見る。
髪を上げているから白くて細い首筋が顕になっていて、その下に続く柔らかな女らしい体躯のラインに息を呑む。
(クソッ。さっきの奴らが変なこと言うから……!)
思わず視線が下へと降りてしまった自分に嫌気が差して視線を逸らす。
コイツは俺の怪我を心配してここにいるって言うのに、一瞬でも変な目で見てしまって最悪だ。
そう思うのと裏腹に、心臓の音が鳴り止まなくてほんの少し顔が熱い。
これ以上2人きりでいるのが居た堪れなくなって、立ち止まって姫の方に向き直った。
「心配してるとこ悪いけど、俺別に怪我とか」
「知ってるわよ、無傷でしょ?」
さっきの深刻そうな顔はどこへやら、しれっとした顔でそう言った姫に時が止まる。
俺の表情が消えたことも気にしないで、姫は淡々と喋り続けた。
「広瀬真って意外と運動神経も反射神経いいでしょ?
さっきも咄嗟にボールを腕で受けてたし。あの程度の球威じゃ怪我しないでしょ。
これはね、作戦よ、作戦。授業をテイよく抜けるためのね。」
フフンとしたり顔で笑う顔は性格の悪さを体現している悪魔の顔だ。
心配かけたのに邪な気持ちを持ってしまって、罪悪感を覚えたことを後悔して眉を顰めた。
「お前……っ!人をサボるためのダシに使ってんじゃねぇよ!」
「おーっほっほっほ!恨むならボールぶつけられた不運な自分を恨むのね!
言っとくけどこれ、広瀬真も共犯だから!」
「テメ、ふざけんなよ!?ブス!!」
「何とでも言いなさい!あ、ブスって言ったのは100倍返しするけど。
さて、私はこのまま教室に制服と荷物取りに行って旧校舎に行くけど、アンタはどうする?」
姫は軽やかに駆け出して俺の数歩前に出ると、ひらりと振り返って悪戯っぽく無邪気に笑う。
その顔を不覚にも可愛いと思ってしまって、悔しさに心の中で「クソ」と呟いた。
「…………俺も行く!」
「じゃ、決まりね!レッツゴー!」
誰もいない廊下を、コソコソと会話しながら姫と2人で駆け抜けた。