姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


恨めしく近江涼介を睨んでいると、その隣からの視線に気づく。

見れば頬が潰れるほど深く頬杖をついた広瀬真が、バツが悪そうな顔をしてこっちを見ている。


「俺は空いてっけど……行くか?」


なぜそんなに不服そうなのか。

しかし背に腹は変えられない。テレビでもクリスマス・イヴ当日にイルミネーションを見ることに意義があると言っていた。

「仕方ないわね、広瀬真だけでも連れてってあげるわよ。感謝なさい!」

「……おう、じゃあ24日な。」

なぜそんなに潮らしくつまらそうなのか。

上から目線の煽りにも乗ってこないし、仕方なく行ってやるよってこと!?

「まーくん、ちょっと。」

張り合いのなさが気に入らなくて思い切り頬を膨らませる。

すると、急に榛名聖が立ち上がって広瀬真の腕を引いて部屋を出ていってしまった。

理由がわからず首を傾げている私の横で、近江涼介は何かを察したのか呆れたように長いため息をついていた。
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