姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#エモーショナル・クリスマス

Ep.166 クリスマス・デート?


クリスマスも目前に迫る頃。
去年は榛名家の別荘で、みんなで楽しく過ごしたっけ。

その時は榛名聖が誘ってくれたけど、今年は私に考えがある。

「イルミネーションを見に行こう!」

暖房の効いた旧校舎の教室で、丸テーブルを囲むいつもの面々に私は大々的に宣言した。

私のテンションに相反してぽかんとしている3人。

リアクションが薄いのはいつものことだし、簡単には乗ってくれないのも予想済みだ。


「昨日テレビでやってたの!クリスマス・イヴは日曜日だしちょうどいいでしょ!?
行こうよー!場所はどこでもいいから!」

バシバシとテーブルを叩いて駄々をこねる。
なんだかんだこれで言うことを聞いてくれるのはわかっているのだ。

「行きたいけど〜、今年はちょっと家の用事断れなさそうなんだよねぇ。
土日どっちも空かないなぁ。」

榛名聖が困ったように笑って肩を竦める。

(なに!?断られた!!)

そうは言っても榛名聖の家は毎年クリスマスパーティーしてるって確か去年聞いてた気がするし、仕方のないことなのか……

クリスマス・イヴに全員で集まるのは諦めて、それは別日にするしかないか。

しょうがないので残った2人の方を見る。
最初に近江涼介と目が合ったのに、すぐに目を伏せて逸らされた。

「……俺も今回はパス。所用で。」

ガ――――――ン!!

榛名聖は想定内だったけど、近江涼介に断られるとは思ってなかったから大ショックだ。

所用ってなに。友達より大事なの!?所用。
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