姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
――side.藤澤姫
言い合いをしながら目的地である大きな公園にたどり着く。
目当てはもちろんイルミネーション。
どこでもいいと言ったら広瀬真が調べてくれた。
休日のクリスマス・イヴということもあって、園内は人で溢れている。
ガヤガヤと賑やかな雰囲気ではあるけれど――
暗闇を忘れさせる煌びやかな世界に入り込み、私と広瀬真は2人して惚けた顔で周りを見渡した。
「すごいね!こんなにキラキラしてるとは思わなかった!」
あっちを見てもキラキラ、こっちを見てもピカピカな園内に高揚するままに広瀬真の方を見る。
「だな。すげー、初めて見た。」
ぽーっと遠くを眺める広瀬真の目の中に電飾の光が映ってキラキラ輝いている。
なんか、私以上に堪能してない?
「お坊ちゃまなんだから、もーっとすごいの見たことあるんだと思ってた。」
いつまでもぽかんとしている広瀬真が可笑しくて、笑いながらちょっと揶揄う。
私の話し声で我に返って、広瀬真は少し恥ずかしそうに咳払いをした。
「ねーよ。言ったろ?娯楽なんかなかったって。
だから今日初めてこんなすげーイルミネーション見て、結構感動してる。」
(あら、素直。)
再び子どもみたいに目を丸くして輝く世界に夢中になる広瀬真に拍子抜けだ。
それと同時に自由がなかった彼の境遇を思って、今日くらいは優しくしてやるかと広瀬真を横目に見ながら、2人でゆっくりと順路を進んでいくことにした。