姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.197 白状します
やってきたのは近所のファミレス。
夕方のこの時間は賑わっていて、学校の愚痴やら恋バナやらが騒々しい笑い声と共に飛び交っている。
――そんな中、私は今日の自分の不甲斐なさに黙りこくってテーブル下で指を絡ませたり解いたりして弄ぶ。
榛名聖はテーブルに両肘をつき、気まずさなど微塵も滲ませずニコニコしてこっちを見ている。
そうしてしばらくの沈黙が続いた。
「――さて、ひーちゃん。全部話してもらおうか〜。」
注文の品がテーブルに揃うと、榛名聖は緩やかな笑顔に少しの圧を乗せ和んでいた空気を切り替える。
それに圧された私は、タジタジになりながら広瀬真とのやりとりを洗いざらい全部話した。
――side 榛名聖
「え!それで自覚したの?
あのひーちゃんが!?へぇえ〜!」
「“あの”って“どの”よ……。」
ひーちゃんは仄かに頬を染めながらものすごくバツが悪そうな顔をしている。
照れて不貞腐れた表情があまりに珍しくて、ちょっと虐めたくなってしまう。
「ひーちゃんもついに赤ちゃん卒業だねぇ。
友達ができて恋もして、もう立派な大人だよ〜。」
「もともと大人なんだけど!?」
照れているひーちゃんのツッコミにはいつもの様なキレがない。
一言喋るごとに小さな唇をまごつかせ、いつも強気な黒目がちの大きな瞳が今は忙しなく泳いでいる。
それにしても、まーくんは予想以上の働きをしてくれた。これは嬉しい誤算だ。
俺がまーくんに期待したのは、“ひーちゃんに恋をしていても友達関係は変わらないことを示すこと”。
それでひーちゃんが自分の心とちゃんと向き合えるようになることを狙っていたんだけど――
まさか恋心を自覚させるところまでやってくれるとは。
自分の気持ちは隅に置いて、ひーちゃんの背中を押すことを優先したのか。
馬鹿正直で優しいまーくんらしい選択だなぁ。