姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「成る程。過去に虐められた腹いせにこれ見よがしに男を誑かしていて、僕はそれに巻き込まれたと……。」
元・生徒会長はダラダラと長い私の話を端的にまとめ、あまつさえ納得して冷静に頷いている。
さすがは日本トップの大学に通う現役堅物大学生。
反応が他とは違っている。
「はい、だから先輩の恋心を利用したことを謝罪したくて。」
「いいよ、別に。謝罪なんて。」
「……え?」
最低な私の懺悔を受け止めた上であっさりとそう言った元・生徒会長を目を見開いて見つめる。
元・生徒会長はあっけらかんとした態度で話し続けた。
「結果的に利用されたのかもしれないけど、藤澤さんに下心を出したのは僕自身だし。
藤澤さんは“恋心”と言ったけどあれは恋愛というより下心だから無碍にはされたけど未練もないしね。」
(し、下心……?)
あんなにデレデレして舞い上がってたくせに?
恋愛感情ではなかったってこと?
途端に動揺が広がって、怪訝な顔で彼を見る。
元・生徒会長は尚も冷静な態度だ。
「他の人だって同じなんじゃないかな?
ほら、藤澤さんって美人すぎてちょっと近寄りがたいオーラあったし。
藤澤さんから来てくれないと行きにくいというか……」
(そうだったの!?)
空いた口が塞がらない。
そりゃ私は類い稀なる美少女ではあるけど、あんなに愛想よくしてたのに近寄りがたいって思われてたの!?
「ああ、ごめん。もういいかな?
実はこの学校に僕の彼女がいて……藤澤さんと同じ学年の生徒会役員の子なんだけど。
こんなとこ見られたら変に誤解されちゃうし、もう行くよ。」
(彼女!?生徒会役員!?
あの時睨んでた地味〜な女共の中のひとり!?)
胸の奥で何かが、ぱき、と音を立てて割れた気がした。
驚愕と謎の敗北感でショックを受ける中、元・生徒会長は颯爽とどこかへ行ってしまった。
取り残された私は何故か振られたみたいな気持ちになって、ずっと“恋心ではなく下心”と言った元・会長の言葉を頭の中で反芻していた。