姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.208 会いたくて
夕方、日の落ちかけた帰り道を私はトボトボと歩いている。
(私が誑かされたジャガイモ共の私への気持ちが全員下心だったとしたら、謝る意味なんてあったのかしら……。
否!でも利用したのは事実なんだから、そこは謝るで正解だった筈。)
悶々も考えていると、足は無意識に図書館に向く。
年が明けてから何度かそうしたけど、求めている人には会えていない。
それでもそこに救いを求めに行ってしまうのは、なんかもう刷り込みとか習慣みたいなものなのかも。
ギィ、と古いガラス張りの引き戸を開けて図書館の中へ中へと入っていく。
今日もどうせ誰もいない学習スペースのドアを開くと、儚げで心細そうにひとりぼっちで椅子に座っている求めていた人の横顔が飛び込んできた。
「なんで……!?」
思わず問いかけた。
だって今日もいないと思っていた。
「姫が1人で悩んでると思って。」
ドアが開く音で振り返った近江涼介は、無表情でそう答えた。
ブラインドから漏れる夕日が後光のようにその姿を照らして、私の感傷を煽って、くっと喉が鳴る。
「あ、あのね……!」
ずっと話をしたかった。
近江涼介に聞いて欲しかった。
ドアを閉めてすぐ話し出した私の目を、近江涼介はじっと見ている。
無感情に見えて優しさが滲むその視線に安心して、私は近江涼介の側に駆け寄る。
――ここ数日1人で謝罪して回っていたことを全部話した。