姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
――ゲームセンターの端っこ、狭いプリクラ機に、私たちはぎゅうぎゅうに詰まっていた。
「ちょっと…せまい!
ひとり小さいからいいけど、男3人もいるとなんか狭い!暑苦しい!」
「ああ゛?なんか言ったかブス。」
「あーら、小さい自覚あったのねチビ。」
「も〜、2人ともこんな狭いとこで暴れないでって…あっ。」
喧嘩してる間にシャッターを切られてしまった。
出来上がりが画面に映る。
睨み合う私と金髪、それを宥める榛名聖が写っている。
「お前のせいでまともに撮れてねぇじゃねーか!
ってか涼介いないし。逃げたぞあいつ。」
「任せて、捕まえたから♡」
3・2・1と機械がカウントダウンを始める。
その間に近江涼介の腕に自分のそれを絡めて写真が写る範囲に奴を引っ張り込む。
笑顔の準備はバッチリだ。
榛名聖はすでに後ろでピースなんかして余裕綽々で、金髪は最前列で慌ててポーズを考えている。
この写真もドタバタだけど、あとで見たデータは悪くないと思った。
「あ〜、遊んだねぇ。楽しかったね〜。」
モールを出て、榛名聖がゆるっと笑う。その言葉に、3人はしばらく沈黙した。
「まぁまぁってとこ?」
「人多いしお前らといると余計に注目されるしウンザリだわ。
……まぁ楽しくなくはなかった。」
「疲れた。」
「わーぉ、素直な人がひとりもいないんだけど〜。」
あっはっはーと、本当に可笑しいわけではなさそうな笑いと共に榛名聖は気の抜けた拍手をする。
溜息をつく近江涼介と広瀬真の間で、プリクラのシール片手に私はまた小さく挙手した。
「でも、……またこうやって遊びたい、かも……。」
恥ずかしさに眉間に力が入る。なんだか少し顔も熱い。
そんな私を3人はぽかんと見つめて、そして笑った。