姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「アイツの友達への執着舐めんなよ!
別れたとして、“じゃあ明日からはまた元通り友達で”って当たり前の様に言ってくるぞ。」
真が目を吊り上がらせて語勢を強める。
その言葉を言う姫の顔がポンと浮かんだ。
「っつか涼介が付き合う前提で話してんのもムカつく!きれーさっぱり振られてんだぞこっちは!!」
手をワナワナとさせる真にほんの少し場が和む。
それで毒気を抜かれたのか、聖もため息をついて話し出した。
「そうだよねぇ。
ひーちゃんに少しも相手にされなかったまーくんからしたら、今の涼ちゃんの悩みって物凄い嫌味だよねぇ。
振られんぼのまーくんからしたら。」
「おいテメェなんでわざわざ言い換えて2回も傷抉ってくるんだよ。」
「ごめんねぇ、俺ってこーゆー性格なの⭐︎」
「少しも悪いと思ってねーだろ!」
賑やかな喧嘩が始まる中で、1人静かに聖と真に言われたことを思い出して考える。
初めての感情に余裕がなくて、自分のことばかりだった
――と。
2人の方をまっすぐ見て、躊躇いがちに口を開いた。
「……2人とも」
「謝るな!!」
険しい顔をした真が強い口調で遮った。
「謝られたらこっちが惨めになるだろーが!
言っとくけど涼介のためじゃねーし!
ずっと助走つけたまま肩透かしくらってるバカのためだからな!」
「とか言って〜しっかり涼ちゃんの背中押す辺りまーくんて本当お人好しの甘々人間だよねぇ。
あ、俺はちなみに本気でウジウジしてる涼ちゃんにムカついてたから⭐︎」
照れた様にフンと鼻を鳴らす真と、今はちゃんと笑っている聖に拍子抜けして涼介もフッと小さく笑う。
情けない自分を殴ってくれる友達も、自分にとって大切な存在だと再認識して勇気をもらった。
「ありがとうな。」
いつのまにか張り詰めた空気は解れている。
いつも通りの緩くて穏やかな雰囲気が、室内を満たしていった。