姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.233 向日葵の君へ
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深夜。
みんなが寝静まった頃。
足音を殺して部屋から出てきた私は、豪華で重いリビングの押し戸を静かに開けた。
「ひーちゃん、こっち。」
そっと中を伺うと、榛名聖の明るい声が私を呼ぶ。
リビングにあるソファの側にある間接照明だけがぽっかりと当たりを柔らかく照らしていた。
暖かい照明に照らされた榛名聖が、私もそこに座るようにと促す。
「ごめんねぇ、遅い時間に呼び出して。
……涼ちゃんに怒られちゃうかなぁ?」
挑発的な視線。私の反応を楽しんでいる時の顔だ。
「……近江涼介はこんなことで怒らないわよ。」
冷めた態度で応戦する。
隣同士で座る榛名聖は屈託なく笑ってとても楽しそうだ。
「そうそう、呼び出した理由はね?
これを見て欲しかったからなんだぁ。」
一旦立ち上がった榛名聖が、ダイニングテーブルの上に置いてあった冊子のようなものを持って戻ってくる。
差し出されたそれを見れば、ティーン向けの女性用ファッション雑誌だった。