姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.25 ラウンド2!


あの客間に、広瀬親子と私の4人が再び揃った。

目の前に座る広瀬父は相変わらず、広瀬真を睨むように威圧している。


隣から異常なほどの緊張が伝わってくる。

まっすぐ向き合っているはずなのに尻込みして弱気になりかけている奴の足を、座卓の下でこっそりと強く叩いた。


(やってやんなさい!広瀬真!)


ハッとしてこっちを向いた広瀬真に、視線だけ向けて小さく頷く。


それで奴は息を吹き返すように胸を膨らませ、行儀良く膝に置いた拳に力を込める。

吸った息を全て吐き出すと、いつも通りの気の強そうな顔でまっすぐ広瀬父と向き合った。


「――父さん、やはり今回の婚約話は取り下げてください。
僕は広瀬を継ぐにしろ、そうでないにしろ自分で納得した道を歩きたいと思っています。

そのための自由を3年許してもらったはずです!
それなのに今婚約者を決めると言うのは………」

「恥を知れと言ったはずだ、真。」


広瀬真の言葉は、またも無情に叩き切られる。

鋭い眼光はそれ以上の発言を許さないとばかりに広瀬真を威圧する。

たった一言で意思を切り捨てられ、再び光を失って悔しそうに下を向く広瀬真が痛々しい。


植え付けられた恐怖心と、それに抗おうともがく葛藤が伝わってきて、私までもどかしくなってしまう。

――強い言葉に、態度に、どれだけ広瀬真は自我を出すことを抑圧され続けてきたんだろう?

どれだけ傷つけられてきたんだろう?

何か言いたくなる唇をギュッと固く結んで堪えた。
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