姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「婚約者問題は今解決できないかもだけど、跡取り問題は卒業までまだまだ時間があるからどうにかなるかもしれないし!
あんな強引なこと言われて黙って言うこと聞くなんて私だったら絶対しないんだから!」
金髪を置いてけぼりにして、私はあーだこーだと言いながら1人作戦を考える。
金髪はその様子を唖然としてずっと見ている。
一筋の光明が差した――
そんな予感に、金髪の目に光が戻っていく。
そして、しばらく間の抜けた顔を晒した後、何かを吹っ切るようにため息をつく。
いつもの気の強さを取り戻して片微笑むと、覚悟したように私の手を握り返してきた。
「たまにはいいこと言うじゃねーか、ブス。」
金髪は幾分清々としたような顔をしながら、そう言った。
「……でもそれなら尚更、今婚約を破断にしなきゃならねーんだよな。」
聞けばお相手は現在高校3年生の名家のご令嬢らしく、まさに今進路を決める只中にいるらしい。
「俺との婚約話が決まれば、当然進路もそれに沿ったものになる。
もし、その人にやりたいことがあったらどうする?
自分の行きたい道を歩くことも許されず、好きでもない男を支える準備をしろなんてそんなの、不憫すぎるだろ。」
他人のことを思って痛々しげに笑う金髪を見て、今までのコイツの下手くそな優しさをぶわっと思い出す。
そして、悔しいけどやっぱりこう思うのだ。
(広瀬真は、いい奴だ。)