姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「ああ〜〜!大事な日曜日を無駄にしたぁあ。一張羅まで着て行ったのにぃい。」

――大袈裟にテーブルに突っ伏してショックを表す姫を、広瀬真はじっと見つめる。


(――“友達”、か。)


思い出すのは、姫が帰った後の家での母との会話だ。


『真さん、姫さんとお付き合いしてるって嘘でしょう。』

穏やかに優しく、そして嬉しそうに母親が笑う。


『――でも、真さんのことをよく見ているいいお友達ね。

大切にしなさい。』


本人も気づかないところでひっそりと芽吹いた感情に、名前はまだない。


「うるせぇよ、……姫。」


呟く言葉に反応して勢いよく起き上がる。

照れているような表情の広瀬真を、私はギッと睨みつけた。

「今ブスって言った?」

「言ってねえよ。」

脳内ゴングが鳴り響き、室内は一気に騒がしくなる。


友達の新たな一面を知っても、何も変わらないと思える日常が続くのだった。
< 97 / 874 >

この作品をシェア

pagetop