姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「ああ〜〜!大事な日曜日を無駄にしたぁあ。一張羅まで着て行ったのにぃい。」
――大袈裟にテーブルに突っ伏してショックを表す姫を、広瀬真はじっと見つめる。
(――“友達”、か。)
思い出すのは、姫が帰った後の家での母との会話だ。
『真さん、姫さんとお付き合いしてるって嘘でしょう。』
穏やかに優しく、そして嬉しそうに母親が笑う。
『――でも、真さんのことをよく見ているいいお友達ね。
大切にしなさい。』
本人も気づかないところでひっそりと芽吹いた感情に、名前はまだない。
「うるせぇよ、……姫。」
呟く言葉に反応して勢いよく起き上がる。
照れているような表情の広瀬真を、私はギッと睨みつけた。
「今ブスって言った?」
「言ってねえよ。」
脳内ゴングが鳴り響き、室内は一気に騒がしくなる。
友達の新たな一面を知っても、何も変わらないと思える日常が続くのだった。