誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 

「今日、明巳さんに会うかと思ってドキドキしました」

 家に帰ったほたるは、そんなことを明巳に言った。

 職場に行ったのだと言うと、

「そうだったのか。
 言ってくれればよかったのに。

 そういえば、若田が出る前、なんか物言いたげだったな」
と明巳は言う。

 あのあと室長の用事で、若田は何処かへ行かされたらしい。

「そういうときは、受付に言って、社長室まで来い」

「いや、一介の平社員がよその会社に行って、いきなり社長室に行くのおかしくないですか?」

「でも、お前は俺の嫁じゃないか。
 形の上では」

「そうですが、誰も知らないことですし」

 なんていうか、こう……と明巳はいろいろ思い出すような顔をしながら言った。
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