誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「あまり仲のよくない厳しいハゲタカのようなおじさんがいるんだ」

 その『厳しい』は何処にかかるのだろうか……?

 ほたるの頭の中で、そのおじさんは厳しい顔をしたハゲタカになっていた。

「小学校のとき、見学旅行で行った先に、たまたまそのおじさんがいたんだよ。

 いつもうるさいおじさんなのに、そのときは知ってる顔見てなんだか嬉しくて。

 おじさんって手を振りながら駆け寄ったら、向こうも嬉しそうで。

 なんかお小遣いくれた――。

 そんな感じに思いがけない場所で身内に会うと、どんな相手でもなんか嬉しいものなんだ。

 だから、連絡して来い」

 待ってください。

 あなたの中の私は、その厳しい顔したハゲタカのようなおじさんと同一線上にいるのですか?

「……身内といえば」
といろいろ飲み込み、ほたるは口を開いた。

「同じ会社にはとこさんがいらっしゃるのですか?
 若田さんがそう言ってらっしゃいましたが」

 ちょっと困った人だと言っていた。
 だが、そこは言うまいとほたるは思う。

 明巳と仲がいいのか悪いのかわからないからだ。
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