誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「お前に言われて、俺が生まれて初めて、ゴミを拾ったのもこの家だ」

 それは問題がありますね。

「ああそうだ。
 ここで啓介さんに出会って、サインももらったし――」

「ロクな思い出がないようですね。
 売りましょう」

 ほたるはそう言ったが、実は、明巳はほんとうに感慨深く思い出していた。

 何故なら、ここは生まれて初めて誰かのために片付けた場所だったからだ。

 ほたるが喜ぶと思い、ほたるのためにキッチンを磨いたことなど思い出しながらしみじみしている明巳の前で、ほたるはさっさと調味料などをダンボールに詰め始めていた。

「お前は行動が早すぎるっ」
と怒られ、ほたるは、

「えっ?」
と振り返る。

 




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