誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 そのとき、ほたるは子どもに手を振られている配膳ロボットを凝視しながら、メモをとっている女性に気がついた。

 細身のスーツ姿で、小顔なその女性は、髪をひとつにまとめ、こざっぱりした感じだったが、大層な美人だった。

 ほたるがつい、じっと見ていると、彼女はこちらに気づき、立ち上がってやってきた。

「ほたる」
と呼びかけてくる。

「え? はい」

 誰だっけな。
 ほたるって呼ぶということは、仕事関係の人じゃないよな、と思ったとき、彼女が言った。

「お友だち?」
と心凪たちを見る。

「あ、はい」

「そう。
 みなさん、いつもほたるの面倒を見てくれてありがとう」

 いや、何故、面倒見てくれていると決めつけるのですか。

 確かに、私はいろいろとやらかしますが、と思ったとき、彼女は、
「ここ、払っておくから」
 ごゆっくりね、と言って去っていった。

 そのとき、唐突に、ほたるはそれが誰なのか気がついた。

 ちゃんと写真を見たこともないが、そうだと思った。

「お、お母さんっ?」
< 155 / 277 >

この作品をシェア

pagetop