誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「明巳は素直じゃないけど。
どうも嫁とあの家で上手くやっているようだから、杉田さんに家は譲らないかもしれないよ、美春ちゃん」
そう美春は、明巳の父に言われた。
「今、じいさんがあいつをまた修行に出しているようなんだが。
嫁に服のひとつも買って帰るようなら、まあ、あいつにしては上出来なんだが……」
そんなことも言って笑っていた。
明巳さんが女性に服を買うとか。
そんなところ想像もつかないんだけど。
もし、そんなことがあるなら。
明巳さんは、あのほたるとかいう嫁を気に入っているということなの!?
「……嫁に愛を注ぐとか。
そんな明巳さんは明巳さんじゃないわ」
と美春は、明巳に、
「待て。
お前の中の俺はどんな感じだ……?」
と言われそうなことを呟きながら、ロビーを早足に歩いていた。
「あ、お疲れ様で……」
と笑顔で言ってきた若田の腕をつかんで引き寄せると、
「若田くん、社長とあの嫁はどんな感じ?」
と美春は訊く。