誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「ど、どんなもこんなも。
 仲良くお暮らしですよ」

 はは……と苦笑いしながら、若田はそう答えてくる。

 美春は若田から手を離し、
「やっぱり、その仲良くお暮らしな家だけでも取り上げてやるっ。
 杉田さんにもう一度連絡しなくちゃ。

 あの夫婦に任せておいたら、保存状態がよくないですよとでも言えば、すぐに動いてくれるはずだわ」
と呟いた。

 若田は般若のような顔をした美春から、ひいいいと後ずさったが。

 美春の言葉の、最後の部分だけは当たっていた。

 あの夫婦に任せておいたら、保存状態がよくない、というところだが――。

 そのとき、
「そう。
 あなたが杉田さんを(そそのか)してたの」
という、ちょっと可愛らしい感じの女の声がした。

 振り返ると、丸顔なので若く見える、センスのいい服を着た小柄な女性が立っていた。

「いいわ。
 あの家、私が買い取るわ。

 私がちゃんと管理しますと言って、あの夫婦を住まわせれば、問題ないはずよ」

「……誰? あんた」
< 179 / 277 >

この作品をシェア

pagetop