誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 



 帰りの車で、明巳が言った。

「今日はいろんなこと知ったな。
 お前のこと。

 味噌ラーメンが好きだとか」

 なんでそんなことをそんなにやさしげに言うのですか、とほたるは助手席で照れる。

「お前もあの漫画、読んでたんだな。
 久しぶりに読んだが、面白かった」

 そうですね。

「子どものころ、お前が俺と同じもの読んでたのかと思うと、ちょっと嬉しい」

 そう言って、明巳は前を見たまま、笑った。

「万年筆はやっぱりモンブランがいいんだな」

 それは小日向先生ですよ……。

 おっと!

 ほたるが膝に置いていたスマホが滑り落ちそうになる。

 慌ててとろうとしたとき、明巳が前を見たまま、手を握ってきた。

 緊張して動けなくなる。

「ほたる……」

「は、はい」
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