誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「実はさっき一度、告白メールを送ったんだ」

「じゃあもう、いいじゃないですか」

「だが、スマホはほら、一度送ったメールが取り消せるじゃないか」

「あっ、と思ったときには、いい機能なんですが。
 こういうときは、よくない機能ですね」

 そうなんだ、とスマホを固く握って明巳は言う。

「取り消せる十秒の間に、いろいろ考えてしまって、取り消してしまうんだ。

 もっといい言葉があったんじゃないかとか。

 距離を置かれてしまうんじゃないかとか」

 結局、取り消してしまった、と明巳は言う。

 目を上げてこちらを見た明巳に、
「なにがおかしい」
と若田は問われた。

「いや、社長、人間っぽくなりましたよね~と思って」

 すると、明巳は憤慨し、
「なんだ、お前まで俺を配膳ロボット扱いか」
と言う。

 いえいえ、そんな、と若田が言い訳しようとしたとき、明巳が言った。

「俺の方が高機能だぞ」

 ……配膳ロボットより?

 そりゃ社長ですからね。
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