誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 だが、明巳は上を見て考えたあと、スマホを開いた。

 なにカンニングしようとしてるんですか。

 しかも、それ、いまいちだと思って、送らなかったやつですよね……?

 明巳はスマホを閉じると、こちらを見て言う。

「……小日向先生の本、とってきていいか」

「……あの人の告白シーンはいまいちですよ。
 あと、あれ、どれも実里さんにリアルに言ったやつらしいです」

「身内での使い回しはよくないな」
と不思議な理由により、やめてくれる。

 父親の考えたセリフを参考に言われても困るので助かった、と思うほたるの前で明巳は真剣に語ってくる。

「上手く言葉にできないんだ。
 こんなことは初めてだ。

 なにも経験していないことでも、それらしく作文に書けるのに」

 それで、賞ももらった、というので。

 その賞は返してください、とほたるは思う。

「なにを言っても、この気持ちを表すのに適切じゃない気がする。

 だから――

 抱きしめてもいいか」
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