誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「レシピは花久のでも、明巳さんの作るコロッケは明巳さんだけのコロッケです。

 なんていうか。

 もうあの、明巳さんの大きい手で作ったコロッケしか、この家のコロッケって感じがしないっていうか。

 ハンバーグもなんですけ……」

 ど、という前に、明巳がテーブルに手をつき、身を乗り出して、キスしてきた。

 ……え~?

 事態が理解できずに、逃げずにとどまる。

 離れた明巳が言った。

「俺は今日、ずっとお前に告白しようと思っていた」

 なんかもう、その一言でしちゃってますけど……。

「でも、なんて言っていいのかわからなくて。
 メールを送信しては、十秒以内に取り消すを繰り返していた。

 しまいには若田まで、
『これでいいんじゃないですか?』
と言ったあとで、

『ああっ、やっぱり、やめてくださいっ、僕は責任負えませんっ』
と取り消しはじめた」

 俺はこれから、お前に告白しようと思う、と明巳は言う。

 だから、もうしちゃってませんかね?
と思いながらも、ほたるは続きを聞きたくて、手を握り合わせ、黙り込む。
< 241 / 277 >

この作品をシェア

pagetop