誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 明巳は、そっとほたるの両腕をつかむと、かなり迷ってから抱きしめてきた。

「キスは衝動的にできるが、抱きしめるのは緊張するな」

 こんな人と一緒になって大丈夫なんでしょうか。

 いや、もう戸籍上はなってるんですけど。

「ほたる……。
 一からちゃんとやり直そう」

「え?」

「うやむやな結婚じゃなくて、ちゃんとお前と付き合って結婚したい」

「一回離婚するということですか」
とほたるは言ったが、そうじゃない、と言われる。

「まあ、座れ」

 明巳はほたるを遊戯室のソファまで引っ張っていった。

 逃すまいとするように、両腕をガッチリつかんだまま。

 ほたるの隣に腰掛け、明巳は言う。

「俺は一旦、この家を出る」

 ……なんのためにですか。

 わざわざ出ていかなくとも、今でも丸一日、見かけない日もあるんですけど。
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