誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 


 早島の父、和雄も呼ばれていたらしい。

 明巳と世間話をしたあと、和雄がほたるに言う。

「お前が見つかって、嬉しくて動転して。
 なんとか幸せになって欲しいと、明巳くんとの婚姻を勝手に進めた。

 冷静になってから、親の決めたレールの上を歩かせたみたいになって、悪かったなと思ったんだが……」

 和雄はほたるたちを見て、ちょっと笑う。

「ありがとうございます。
 でも、私は、このレールの上をずっと歩いていきたいです」
とほたるは明巳を見上げた。

 和雄が涙ぐみ、

 何故か明巳も涙ぐんでいる。

「ほんとうに小日向先生には感謝しかない。
 お前を連れて海に飛び込もうとしていたあの人を止めてくれて」

 ……そうだったのか。

 おばあちゃんに丸投げしてたとは言え、心配はしてくれていたようだし。

 あの人もやっぱり、私の父親のひとりなんだろう、
とほたるは思う。

「大事にしてあげなさい」
と和雄に言われ、はい、と頷いた。

「それと、今度、小日向先生の本買うからと伝えといてくれ」

「……まだ買ってなかったんですね」
 

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