誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 



「お父さんがいっぱいできました」

 二人で庭園のベンチに座った。
 花を眺めながら、ほたるは言う。

「早島のお父さんに、小日向先生に、明巳さんのお父さん」

「ありがとう。
 うちの父も入れてくれて」

 面倒臭いオヤジだが、と明巳は言う。

「母親もいっぱいいますけどね。
 おばあちゃんに、早島のお母さんに、産みのお母さんに、実里さん……

 それと、私を殺さないで、小日向先生に預けてくれた人」

 迷って迷って。

 小日向先生がいつ警察に駆け込むかもわからないのに。

 私を殺せずに、小日向先生に預けてくれたあの人も。

 私に新しい人生をくれて、明巳さんと結びつけてくれた母なのかもしれない。

 今も生きているのかはわからないが――。

「あのー、京塚明巳さんご夫妻ですか?」

 そんな声が聞こえて、二人を顔を上げた。

 生真面目そうな、若く感じのいい、スーツ姿の男が立っていた。

「初めまして、杉田です」

「えっ? あ、初めましてっ」
と二人は慌てて立ち上がり、頭を下げる。

 これはもしやっ、あの家が欲しい杉田さんっ?
と二人は緊張した。
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