誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「……今まで、あの家でなければ、二人で暮らせない気がして、こだわってたんです。

 最初に二人で暮らしはじめた場所を出ていくと、縁も切れてしまう気がして。

 でも、今は、例え住処(すみか)移しても。
 二人で暮らしたら、そこがもう、自分たちの家だな、と思うので」

 明巳はぎゅっとほたるの手を強く握った。

 ほたるも明巳を見上げる。

「……ありがとうございます」

 杉田は深々と頭を下げた。

「本当に申し訳ありません。
 住み慣れた家でしょうに」

 いえいえ、キッチンと遊戯室しか使ってないです、と思いながら、ははは……と二人は笑う。

 ほたるが、
「まだ足を見つけてないのが、心残りですが」
と言って、

「え? 足?」
と内部をよく知る杉田に訊き返されてしまった。

 ないのか、足……。

 手はあるのにな。
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