誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 啓介の前では、飼い慣らされた犬コロのような明巳が戻ってきた。

 本にサインしてもらって喜んでいる。

「ありがとうございますっ」
と頭を下げる明巳とともに、見送った。

「なんで私のためなんだか」
と呟きながら、明巳の手にある本をチラと見ると、

「尊敬する作家様の言うことは絶対だからだろ」
と明巳は本を開いて見せてくる。

「京塚明巳さま

 小日向啓介

 いつまでも二人で幸せに。
   義理で仮で偽の父より

 家片付けろよ」

「……義理で仮で偽の父なのに、強制力ありますかね?」

 そう言いながらも、ちょっと嬉しかった。

 あれでも多少は考えてくれているのかなと思って。

「そういえば、どっちの親も金には不自由してないようなのに、なんで、お前は引越し貧乏になってたんだ」
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