誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「そうだ。
 忘れていた。

 明巳くん、サインしてあげよう」

 あ、はいっ、と明巳は急いで本を取りに行った。

「自分から言う人がいますか」
と呆れたようにほたるは言ったが、

「いやいや、お前のためにな。
 ……いい旦那だな」
と啓介は明巳が消えたちょっと片付いた廊下の方を見ながら言う。

「ところで、犯人の女性とはどういう関係だったんですか?」

 今なら訊いてもいいかと思い、訊いてみた。

 拾ったとか言っていたが、ほんとうは彼女から預かっていたのだろう。

 そうでなければ、訳ありの子だと親に言うはずがない。

「彼女は訳あって育てられなくなった、夫と自分の子だと言ってたんだが。
 育ててるうちに、あんまり彼女には似てないな~と思うようになって。

 むしろ、俺ら夫婦とか、ばあちゃんに似てるよな、お前」
と言われ、

「おばあちゃんはともかく、あなたに似てると言われるのは心外ですが……」
とほたるは眉をひそめる。

 まあ、血のつながりはなくとも、家族として過ごしているうちに、なんとなく似てくるものなのだろう。
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