誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「いっそ、もうちょっと愛を深めてみた方がいい気がしてきたんだ。
暮らしやすくなるというか」
そんなことをほたるは、次の日キッチンに現れた明巳に言われた。
昨日、ちょっと甘えてみろと言っただけで、あんなに照れていたのに。
いや、なんだか、仕事でなにか提案している風な雰囲気もあるな。
この人、真剣になにごとかを考えると、仕事モードになり、そのことにまつわるおのれの感情を一切排除してしまうのかもしれないな。
そう思いながら、ほたるは訊いてみた。
「どうやって深めるんですか?」
「そうだな。
なんらかの障害を作るとか」
障害を自ら……。
いや、どうやってだ、とほたるは思う。
そこは明巳も悩んだようだった。
愛の障害といっても、双方の身内がこの結婚に反対しているわけでもない。
そもそも、彼らが持ってきた結婚話だ。
ロミオとジュリエットにもなれない。