誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
 

 明巳はほたるについてそのマンションに行ってみた。

 まだ新しい、いわゆるラグジュアリーマンションというやつだ。

 家で二人でいるときは、いつもキッチンなので。

 二人とも、なんとなくキッチンに行ってしまう。

 とは言っても、このマンションは、キッチン、ダイニング、リビング、そして寝室までが、まるでワンルームであるかのようにゆるく繋がっている。

 そして、それらに置かれている家具は、どれも白と曲線を基調にしていて統一感があった。

「素敵ですねえ」
とほたるは、まるで、人の家にお邪魔しているような感じに感想を述べる。

 ここに来てみるどころか、どんな家かも知らなかったようだ。

「結婚してもひとりになりたいこともあるだろうから、そんなときはここに来なさいとお父さんからもらったんですよね」

 このお父さんというのは、早島の父のことだろう。

 啓介なら、
「あんなデカい家に住んでんだ。
 気に入らないことがあったら、好きな部屋入って、鍵かけてりゃいいじゃねえか」
とでも言いそうだ。

 水色がかっていて、向こうがほんのりとしか見えないガラスの壁の向こうに、ベッドルームがある。

 大きなベッドに落ち着いた色のリネン。
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