秘めた恋は、焔よりも深く。
胸が熱くなり、美咲は思わず視線を逸らした。
この狭い空間に二人きり……着物姿のままということもあり、どうにも落ち着かない。
「……今すぐ、着替えてきますね」
そう言って距離を取るように寝室へ向かおうとした、その瞬間。
「行かせるものか」
龍之介の大きな手が、美咲の手首をしっかりと掴んだ。
驚く間もなく、後ろから強く引き寄せられる。
背中に感じるのは、彼の胸の硬さと熱。
「……会いたかった」
その囁きと同時に、龍之介の腕が後ろから強く美咲を抱きしめる。
温かな体温と力強さが背中越しに伝わり、逃げ道は完全に塞がれていた。
美咲は思わず息をのむ。
「龍之介さん……」
肩越しに感じる吐息が、首筋をくすぐり、心臓の鼓動をさらに速める。
美咲はどうにか言葉を探そうとしたが、胸の奥から湧き上がる熱に声が震えた。
龍之介の片手は、手首を掴んでいた位置からそっと下へ滑り、指先で彼女の指を絡め取る。
「……離す気はない。二人きりになれたんだ、もう少し、このままでいさせてくれ」
強い抱擁に抗うこともできず、美咲はしばし迷った。
けれど、言葉を探す代わりに、静かに目を閉じる。
何も言わずに、そのまま背中から伝わる龍之介の体温に身を任せた。
龍之介の胸に背を預け、腕の力強さに包まれたまま。
時間の感覚が曖昧になり、鼓動だけがはっきりと聞こえていた。
どれくらい抱きしめられていただろうか。
数分か、あるいはもっと長かったのかもしれない。
やがて、美咲はかすかな声を震わせた。
「……心配をかけて、すみません」
囁きは弱々しいのに、はっきりと彼の胸に届く。
龍之介の腕が一瞬きゅっと強まり、背中越しに深い息が落ちた。
「謝るな。……無事でいてくれた。それだけでいい」
その低い声に胸が震えたが、しばしの沈黙のあと、抱きしめる腕の力がわずかに緩んだ。
美咲はその瞬間を逃さず、息を整えながら口を開いた。
「……着替えてきますね」
そっと言葉を落とし、龍之介の腕の中から身を翻そうとした。
逃れるように一歩踏み出そうとした瞬間。
龍之介の大きな手が、美咲の肩口を掴む。
ぐっと引き戻されると同時に、着物の襟もとが静かに広げられた。
ひやりとした空気に触れ、美咲の白い肩があらわになる。
思わず息を呑んだ美咲は、胸の奥に羞恥と熱がいっぺんに込み上げた。
「……龍之介さん……っ」
震える声で名を呼ぶと、彼の熱を帯びた眼差しが肩口に注がれる。
その視線は、どんな言葉よりも雄弁に「離したくない」と告げていた。
龍之介の熱い吐息がふっと触れ、次いで柔らかな感触が肩先に落ちた。
唇が触れた一瞬、背筋に電流のような震えが走る。
「……会いたくて、たまらなかった」
低く囁く声とともに、もう一度、今度は少し長く口づけが降りる。
美咲の体から力が抜け、肩口を押さえる手も震えていた。
背後から抱きすくめられたまま、肩に触れる熱に翻弄される。
次の瞬間。
鋭い痛みが肩に走った。
「……痛っ!」
思わず声を上げる美咲。
耳元に、低く甘い囁きが落ちる。
「俺のものだ」
熱と痛みを刻むその一言に、心臓が跳ねる。
美咲は目を閉じ、抗うこともできず、ただ胸の奥で震え続けた。
やがて龍之介はゆっくりと腕の力を緩め、肩口に最後の口づけを落とす。
そして穏やかな声に戻し、耳元で囁いた。
「……さあ、着替えておいで」
解放された体がわずかに揺れる。
けれど、美咲の心には、彼の刻んだ熱と囁きが鮮烈に残っていた。
この狭い空間に二人きり……着物姿のままということもあり、どうにも落ち着かない。
「……今すぐ、着替えてきますね」
そう言って距離を取るように寝室へ向かおうとした、その瞬間。
「行かせるものか」
龍之介の大きな手が、美咲の手首をしっかりと掴んだ。
驚く間もなく、後ろから強く引き寄せられる。
背中に感じるのは、彼の胸の硬さと熱。
「……会いたかった」
その囁きと同時に、龍之介の腕が後ろから強く美咲を抱きしめる。
温かな体温と力強さが背中越しに伝わり、逃げ道は完全に塞がれていた。
美咲は思わず息をのむ。
「龍之介さん……」
肩越しに感じる吐息が、首筋をくすぐり、心臓の鼓動をさらに速める。
美咲はどうにか言葉を探そうとしたが、胸の奥から湧き上がる熱に声が震えた。
龍之介の片手は、手首を掴んでいた位置からそっと下へ滑り、指先で彼女の指を絡め取る。
「……離す気はない。二人きりになれたんだ、もう少し、このままでいさせてくれ」
強い抱擁に抗うこともできず、美咲はしばし迷った。
けれど、言葉を探す代わりに、静かに目を閉じる。
何も言わずに、そのまま背中から伝わる龍之介の体温に身を任せた。
龍之介の胸に背を預け、腕の力強さに包まれたまま。
時間の感覚が曖昧になり、鼓動だけがはっきりと聞こえていた。
どれくらい抱きしめられていただろうか。
数分か、あるいはもっと長かったのかもしれない。
やがて、美咲はかすかな声を震わせた。
「……心配をかけて、すみません」
囁きは弱々しいのに、はっきりと彼の胸に届く。
龍之介の腕が一瞬きゅっと強まり、背中越しに深い息が落ちた。
「謝るな。……無事でいてくれた。それだけでいい」
その低い声に胸が震えたが、しばしの沈黙のあと、抱きしめる腕の力がわずかに緩んだ。
美咲はその瞬間を逃さず、息を整えながら口を開いた。
「……着替えてきますね」
そっと言葉を落とし、龍之介の腕の中から身を翻そうとした。
逃れるように一歩踏み出そうとした瞬間。
龍之介の大きな手が、美咲の肩口を掴む。
ぐっと引き戻されると同時に、着物の襟もとが静かに広げられた。
ひやりとした空気に触れ、美咲の白い肩があらわになる。
思わず息を呑んだ美咲は、胸の奥に羞恥と熱がいっぺんに込み上げた。
「……龍之介さん……っ」
震える声で名を呼ぶと、彼の熱を帯びた眼差しが肩口に注がれる。
その視線は、どんな言葉よりも雄弁に「離したくない」と告げていた。
龍之介の熱い吐息がふっと触れ、次いで柔らかな感触が肩先に落ちた。
唇が触れた一瞬、背筋に電流のような震えが走る。
「……会いたくて、たまらなかった」
低く囁く声とともに、もう一度、今度は少し長く口づけが降りる。
美咲の体から力が抜け、肩口を押さえる手も震えていた。
背後から抱きすくめられたまま、肩に触れる熱に翻弄される。
次の瞬間。
鋭い痛みが肩に走った。
「……痛っ!」
思わず声を上げる美咲。
耳元に、低く甘い囁きが落ちる。
「俺のものだ」
熱と痛みを刻むその一言に、心臓が跳ねる。
美咲は目を閉じ、抗うこともできず、ただ胸の奥で震え続けた。
やがて龍之介はゆっくりと腕の力を緩め、肩口に最後の口づけを落とす。
そして穏やかな声に戻し、耳元で囁いた。
「……さあ、着替えておいで」
解放された体がわずかに揺れる。
けれど、美咲の心には、彼の刻んだ熱と囁きが鮮烈に残っていた。