秘めた恋は、焔よりも深く。
ダイニングはキャンドルの灯りに包まれ、木の温もりを感じさせる空間だった。
スタッフのもてなしは丁寧で、旬の野菜と炭火で焼かれた肉料理が次々と運ばれてくる。
「美味しいですね」
美咲が微笑むと、龍之介は頷くだけで多くは語らなかった。
けれど、その瞳がふと美咲に向けられるたび、食事の場でさえ熱を帯びた視線が絡んでくる。
他の客もスタッフもいるこの場所では、決して触れ合うことはない。
ただそれがかえって、さっきの未遂の熱をさらに煽るのだった。
食事を終え、テントへ戻る小道を歩く。
星空の下、互いに多くを語らないまま、足取りだけが早くなる。
テントに入った瞬間。
外の静けさに包まれた空間で、再び二人きりになった途端、張りつめていた糸が切れた。
龍之介は迷うことなく美咲の腕を引き寄せ、そのまま強く抱きしめる。
「……この週末を、ずっと待っていた」
熱を帯びた囁きとともに、龍之介の唇が重なりそうになる。
けれど、美咲は咄嗟に彼の胸へ手を置いた。
その掌に伝わる鼓動は力強く、熱く、あまりにも切実だった。
まるで彼の想いが直接流れ込んでくるようで、美咲の胸は大きく揺さぶられる。
けれど、このまま身を委ねれば、きっと二人とも引き返せなくなる。
そう直感した瞬間、美咲は無意識に彼を押しとどめていた。
「龍之介さん……」
震える声に宿るのは拒絶ではなく、戸惑い。
それを彼はすぐに理解した。
しばらく黙したあと、龍之介は力を抜き、美咲をそっと解放した。
「……そうか。わかった」
低く落ち着いた声。
それ以上は求めず、彼はただ肩に手を添えたまま、柔らかな眼差しで見つめる。
「……先に風呂に入ってきたらどうだ? 部屋付きの露天風呂だ」
龍之介が落ち着いた声でそう促す。
「では、そうさせていただきます」
美咲はわずかに会釈をし、バスルームへと向かった。
湯気の立ちのぼる露天風呂は、木々に囲まれた静かな空間だった。
夜空には淡い星が瞬き、虫の声が遠くから届く。
湯に肩まで身を沈めると、張りつめていた心と身体が少しずつ解けていく。
あの人の鼓動が、まだ手のひらに残っている。
まぶたを閉じると、さっきの熱が鮮明によみがえり、胸の奥がざわめいた。
流されてはいけない、と思ったはずなのに、どうしてこんなに……。
美咲は夜空を仰ぎ、そっと息を吐いた。
湯から上がった美咲は、浴衣に袖を通し、まだ濡れた髪をタオルで軽く押さえながらテントへ戻った。
肌は火照り、頬にはうっすら紅が差している。
龍之介はソファに腰を下ろし、グラスの水を口にしていた。
扉が開き、美咲が入ってきた瞬間、その手が止まる。
視線が彼女に吸い寄せられる。
夜風に冷まされてもなお熱を帯びた頬、ゆるやかな浴衣のライン。
その姿に、言葉を失うほどの想いが溢れてくる。
「……」
声にはならない。
けれど、じっと見つめる瞳だけが、美咲への熱を隠しきれずにいた。
美咲は気づき、わずかに足を止める。
その視線に胸が高鳴り、浴衣の袖を無意識に握りしめた。
スタッフのもてなしは丁寧で、旬の野菜と炭火で焼かれた肉料理が次々と運ばれてくる。
「美味しいですね」
美咲が微笑むと、龍之介は頷くだけで多くは語らなかった。
けれど、その瞳がふと美咲に向けられるたび、食事の場でさえ熱を帯びた視線が絡んでくる。
他の客もスタッフもいるこの場所では、決して触れ合うことはない。
ただそれがかえって、さっきの未遂の熱をさらに煽るのだった。
食事を終え、テントへ戻る小道を歩く。
星空の下、互いに多くを語らないまま、足取りだけが早くなる。
テントに入った瞬間。
外の静けさに包まれた空間で、再び二人きりになった途端、張りつめていた糸が切れた。
龍之介は迷うことなく美咲の腕を引き寄せ、そのまま強く抱きしめる。
「……この週末を、ずっと待っていた」
熱を帯びた囁きとともに、龍之介の唇が重なりそうになる。
けれど、美咲は咄嗟に彼の胸へ手を置いた。
その掌に伝わる鼓動は力強く、熱く、あまりにも切実だった。
まるで彼の想いが直接流れ込んでくるようで、美咲の胸は大きく揺さぶられる。
けれど、このまま身を委ねれば、きっと二人とも引き返せなくなる。
そう直感した瞬間、美咲は無意識に彼を押しとどめていた。
「龍之介さん……」
震える声に宿るのは拒絶ではなく、戸惑い。
それを彼はすぐに理解した。
しばらく黙したあと、龍之介は力を抜き、美咲をそっと解放した。
「……そうか。わかった」
低く落ち着いた声。
それ以上は求めず、彼はただ肩に手を添えたまま、柔らかな眼差しで見つめる。
「……先に風呂に入ってきたらどうだ? 部屋付きの露天風呂だ」
龍之介が落ち着いた声でそう促す。
「では、そうさせていただきます」
美咲はわずかに会釈をし、バスルームへと向かった。
湯気の立ちのぼる露天風呂は、木々に囲まれた静かな空間だった。
夜空には淡い星が瞬き、虫の声が遠くから届く。
湯に肩まで身を沈めると、張りつめていた心と身体が少しずつ解けていく。
あの人の鼓動が、まだ手のひらに残っている。
まぶたを閉じると、さっきの熱が鮮明によみがえり、胸の奥がざわめいた。
流されてはいけない、と思ったはずなのに、どうしてこんなに……。
美咲は夜空を仰ぎ、そっと息を吐いた。
湯から上がった美咲は、浴衣に袖を通し、まだ濡れた髪をタオルで軽く押さえながらテントへ戻った。
肌は火照り、頬にはうっすら紅が差している。
龍之介はソファに腰を下ろし、グラスの水を口にしていた。
扉が開き、美咲が入ってきた瞬間、その手が止まる。
視線が彼女に吸い寄せられる。
夜風に冷まされてもなお熱を帯びた頬、ゆるやかな浴衣のライン。
その姿に、言葉を失うほどの想いが溢れてくる。
「……」
声にはならない。
けれど、じっと見つめる瞳だけが、美咲への熱を隠しきれずにいた。
美咲は気づき、わずかに足を止める。
その視線に胸が高鳴り、浴衣の袖を無意識に握りしめた。