秘めた恋は、焔よりも深く。
「……朝起きて、寂しかった」
後ろから抱き寄せたまま、龍之介が低く呟いた。
美咲は一瞬だけ動きを止め、買い物袋をテーブルに置いた。
「ごめんなさい。いろいろ整理したいことがあって……どうしても、
ここに帰ってきたかったの」
振り返った美咲の表情は、少し申し訳なさそうで、それでも自分の意志を含んでいた。
「ぐっすり眠っていたから、起こしたくなかったの」
その言葉に、龍之介はふっと力を抜き、彼女の髪に唇を寄せた。
美咲は気持ちを切り替えるように微笑み、冷蔵庫に買ってきた食材をしまいながら言った。
「朝食、作るけど……一緒に食べる?」
「もちろんだ」
迷いなく返す声に、リビングの空気が少し柔らかく変わった。
「何時ごろ帰ったんだ?」
「……七時過ぎよ」
「そうか」
美咲はエプロンの紐を結びながら、少し照れたように続けた。
「空気の入れ替えをして、片づけもして……頭の中をすこしすっきりさせたくて、散歩がてら買い物に出たの。だからメッセージに気づかなくて。連絡が遅くなって、ごめんなさい」
「気にしないでいい」
龍之介はふっと微笑んだ。
「ただ、会いたかったんだ。何も考えず、押しかけてしまった」
その率直な言葉に、美咲の胸があたたかく満たされていく。
「いいの。私も……会いたかったから」
美咲の小さな声に、龍之介の胸の奥が熱くなる。
ふたりで朝食を囲み、食器を片づけ終えたころには、部屋にゆったりとした空気が流れていた。
並んでソファーに腰を下ろす。
外から差し込む朝の光が、カーテン越しに柔らかく二人を包み込んでいる。
龍之介が横目で美咲を見やり、口元に笑みを浮かべた。
「それで……頭の中は、すっきりしたのか?」
冗談めいた問いに、美咲は思わずくすっと笑う。
「どうかしら。……少しは、ね」
「少しは、か」
龍之介がカップを置き、美咲を見つめる。
「話したいことはあるか?」
「……うん」
美咲は頷いたものの、すぐに言葉を継がず、膝の上で指を重ね合わせる。沈黙がふたりの間を包む。
龍之介はその様子に柔らかな笑みを浮かべながらも、低く問いかけた。
「俺の家で……一緒に暮らすことは、考えていてくれてるか?」
しばしの間を置いて、美咲は小さく、けれどはっきりと答えた。
「……うん」
その一言に、龍之介の胸の奥が熱を帯びていった。
「昨日は……答えなくて悪かった」
龍之介は少し視線を落とし、ゆっくり言葉を選ぶように続けた。
「風呂で話すのも、なんだか違う気がしてな。ちゃんと向き合って伝えたかった」
美咲は黙って耳を傾けている。
「寝る前に話そうと思ったのに……俺たち、二人とも寝落ちしたんだよな」
苦笑まじりの声に、美咲の頬がわずかに緩んだ。
後ろから抱き寄せたまま、龍之介が低く呟いた。
美咲は一瞬だけ動きを止め、買い物袋をテーブルに置いた。
「ごめんなさい。いろいろ整理したいことがあって……どうしても、
ここに帰ってきたかったの」
振り返った美咲の表情は、少し申し訳なさそうで、それでも自分の意志を含んでいた。
「ぐっすり眠っていたから、起こしたくなかったの」
その言葉に、龍之介はふっと力を抜き、彼女の髪に唇を寄せた。
美咲は気持ちを切り替えるように微笑み、冷蔵庫に買ってきた食材をしまいながら言った。
「朝食、作るけど……一緒に食べる?」
「もちろんだ」
迷いなく返す声に、リビングの空気が少し柔らかく変わった。
「何時ごろ帰ったんだ?」
「……七時過ぎよ」
「そうか」
美咲はエプロンの紐を結びながら、少し照れたように続けた。
「空気の入れ替えをして、片づけもして……頭の中をすこしすっきりさせたくて、散歩がてら買い物に出たの。だからメッセージに気づかなくて。連絡が遅くなって、ごめんなさい」
「気にしないでいい」
龍之介はふっと微笑んだ。
「ただ、会いたかったんだ。何も考えず、押しかけてしまった」
その率直な言葉に、美咲の胸があたたかく満たされていく。
「いいの。私も……会いたかったから」
美咲の小さな声に、龍之介の胸の奥が熱くなる。
ふたりで朝食を囲み、食器を片づけ終えたころには、部屋にゆったりとした空気が流れていた。
並んでソファーに腰を下ろす。
外から差し込む朝の光が、カーテン越しに柔らかく二人を包み込んでいる。
龍之介が横目で美咲を見やり、口元に笑みを浮かべた。
「それで……頭の中は、すっきりしたのか?」
冗談めいた問いに、美咲は思わずくすっと笑う。
「どうかしら。……少しは、ね」
「少しは、か」
龍之介がカップを置き、美咲を見つめる。
「話したいことはあるか?」
「……うん」
美咲は頷いたものの、すぐに言葉を継がず、膝の上で指を重ね合わせる。沈黙がふたりの間を包む。
龍之介はその様子に柔らかな笑みを浮かべながらも、低く問いかけた。
「俺の家で……一緒に暮らすことは、考えていてくれてるか?」
しばしの間を置いて、美咲は小さく、けれどはっきりと答えた。
「……うん」
その一言に、龍之介の胸の奥が熱を帯びていった。
「昨日は……答えなくて悪かった」
龍之介は少し視線を落とし、ゆっくり言葉を選ぶように続けた。
「風呂で話すのも、なんだか違う気がしてな。ちゃんと向き合って伝えたかった」
美咲は黙って耳を傾けている。
「寝る前に話そうと思ったのに……俺たち、二人とも寝落ちしたんだよな」
苦笑まじりの声に、美咲の頬がわずかに緩んだ。