秘めた恋は、焔よりも深く。
張り詰めた沈黙を、美咲の震える声が破った。
「……私のことを、知ってくれますか?」
潤んだ瞳で龍之介を見つめ、言葉を続ける。
「龍之介さんのことを……もっと教えてくれますか?」
涙が光る頬を見て、龍之介の胸が強く締めつけられる。
結婚の答えはまだ聞けない。けれど、今の彼女の言葉は、確かな「前進」の証に思えた。
龍之介は、美咲の涙を拭うようにそっと頬に触れた。
「……俺のことなら、なんでも聞いてくれ」
視線は揺るぎなく、まっすぐ彼女を捉えている。
「そして……美咲のことなら、俺もなんでも知りたい」
その言葉に、美咲の胸が熱くなる。
恐れやためらいを超えて、ようやく“共に歩む”という扉が開き始めていた。
美咲は堪えきれず、龍之介の胸に抱きついた。
「……私のことを知っていくうちに、めんどくさい女だって思っても……一緒にいてくれる?」
龍之介は迷いなく腕を回し、その背を強く抱きしめる。
「ああ。それも含めて……愛してやる」
その言葉に、美咲は泣き笑いになった。
「……愛してやるって……すごい上からの物言いね」
涙を浮かべながらも笑う彼女を、龍之介はただいとおしそうに見つめていた。
美咲の頬にようやく笑みが戻ったのを見て、龍之介の胸に温かなものが広がった。
「……やっと笑ったな」
その表情を逃すまいと、いとおしげに見つめる。
そして、ためらいなく言葉を重ねた。
「美咲。……いつ籍を入れようか?」
突然の問いかけに、美咲は目を瞬かせた。
けれど、その視線にはもう、不安よりも未来への光が揺れていた。
「急すぎるわ」
美咲は戸惑いながらも、頬をほんのり染めて答えた。
龍之介は間髪入れず、真剣な眼差しで言う。
「もう結婚式もしたし、あとは指輪と婚姻届けだけだろ」
美咲は思わず吹き出した。
「あれは……仕事の一端でしょ?」
笑いながらそう返す。
「そうだとしても」
龍之介の声は揺るがなかった。
「俺は忘れられない。ウェディングドレス姿のお前が……美しすぎて。あの瞬間、現実にするって、心に決めてたんだ」
真摯な告白に、美咲の胸が再び熱く高鳴った。
「嬉しいわ。龍之介さんは……とっても素敵だった。まるでダンディズムを体現しているみたいで」
思い返すだけで、うっとりと微笑む美咲。
龍之介はその言葉にわずかに眉をひそめ、すねたように言った。
「……それって、結局“年寄り”ってことだろう?」
美咲は慌てて首を振る。
「そんなこと言ってないわよ」
その瞬間、龍之介は彼女の手をぐっと握りしめ、真剣な眼差しで告げた。
「じゃあ……俺が年寄りになる前に、妻に、今すぐなってくれ」
強引さと切実さの入り混じった言葉に、美咲の胸は大きく波打った。
美咲はしばし沈黙した。
真剣に見つめてくる龍之介の眼差しを受け止めながら、小さく息を整える。
「……母と兄に、会ってくれる?」
龍之介は即座に頷いた。
「もちろん。挨拶をしてから、籍を入れたい」
「美咲、携帯はどこにある?」
「え? キッチンカウンターに……」
美咲が携帯を手に取ると、龍之介は即座に言った。
「今すぐ、お母さんに電話して予定を聞いてくれ。できれば明日の午後、もしくは週末の午後、だな」
「えええええっ⁈ ちょ、ちょっと待って。明日は火曜日でしょ。
母は火曜の午後はお友達と出かけたり、ご飯を食べたりで留守にしてることが多いのよ」
「じゃあ、週末だな」
迷いのない返答に、美咲は目を瞬かせた。
龍之介の行動力に、ただ驚かされるばかりだった。
それでも意を決して母に電話をかけると、思いがけず快く応じてくれ、顔合わせは日曜の午後、美咲の実家でということに決まった。
通話を終えた美咲は、胸の鼓動が早まっているのを自覚する。
現実が、いよいよ動き出したのだ。
「……私のことを、知ってくれますか?」
潤んだ瞳で龍之介を見つめ、言葉を続ける。
「龍之介さんのことを……もっと教えてくれますか?」
涙が光る頬を見て、龍之介の胸が強く締めつけられる。
結婚の答えはまだ聞けない。けれど、今の彼女の言葉は、確かな「前進」の証に思えた。
龍之介は、美咲の涙を拭うようにそっと頬に触れた。
「……俺のことなら、なんでも聞いてくれ」
視線は揺るぎなく、まっすぐ彼女を捉えている。
「そして……美咲のことなら、俺もなんでも知りたい」
その言葉に、美咲の胸が熱くなる。
恐れやためらいを超えて、ようやく“共に歩む”という扉が開き始めていた。
美咲は堪えきれず、龍之介の胸に抱きついた。
「……私のことを知っていくうちに、めんどくさい女だって思っても……一緒にいてくれる?」
龍之介は迷いなく腕を回し、その背を強く抱きしめる。
「ああ。それも含めて……愛してやる」
その言葉に、美咲は泣き笑いになった。
「……愛してやるって……すごい上からの物言いね」
涙を浮かべながらも笑う彼女を、龍之介はただいとおしそうに見つめていた。
美咲の頬にようやく笑みが戻ったのを見て、龍之介の胸に温かなものが広がった。
「……やっと笑ったな」
その表情を逃すまいと、いとおしげに見つめる。
そして、ためらいなく言葉を重ねた。
「美咲。……いつ籍を入れようか?」
突然の問いかけに、美咲は目を瞬かせた。
けれど、その視線にはもう、不安よりも未来への光が揺れていた。
「急すぎるわ」
美咲は戸惑いながらも、頬をほんのり染めて答えた。
龍之介は間髪入れず、真剣な眼差しで言う。
「もう結婚式もしたし、あとは指輪と婚姻届けだけだろ」
美咲は思わず吹き出した。
「あれは……仕事の一端でしょ?」
笑いながらそう返す。
「そうだとしても」
龍之介の声は揺るがなかった。
「俺は忘れられない。ウェディングドレス姿のお前が……美しすぎて。あの瞬間、現実にするって、心に決めてたんだ」
真摯な告白に、美咲の胸が再び熱く高鳴った。
「嬉しいわ。龍之介さんは……とっても素敵だった。まるでダンディズムを体現しているみたいで」
思い返すだけで、うっとりと微笑む美咲。
龍之介はその言葉にわずかに眉をひそめ、すねたように言った。
「……それって、結局“年寄り”ってことだろう?」
美咲は慌てて首を振る。
「そんなこと言ってないわよ」
その瞬間、龍之介は彼女の手をぐっと握りしめ、真剣な眼差しで告げた。
「じゃあ……俺が年寄りになる前に、妻に、今すぐなってくれ」
強引さと切実さの入り混じった言葉に、美咲の胸は大きく波打った。
美咲はしばし沈黙した。
真剣に見つめてくる龍之介の眼差しを受け止めながら、小さく息を整える。
「……母と兄に、会ってくれる?」
龍之介は即座に頷いた。
「もちろん。挨拶をしてから、籍を入れたい」
「美咲、携帯はどこにある?」
「え? キッチンカウンターに……」
美咲が携帯を手に取ると、龍之介は即座に言った。
「今すぐ、お母さんに電話して予定を聞いてくれ。できれば明日の午後、もしくは週末の午後、だな」
「えええええっ⁈ ちょ、ちょっと待って。明日は火曜日でしょ。
母は火曜の午後はお友達と出かけたり、ご飯を食べたりで留守にしてることが多いのよ」
「じゃあ、週末だな」
迷いのない返答に、美咲は目を瞬かせた。
龍之介の行動力に、ただ驚かされるばかりだった。
それでも意を決して母に電話をかけると、思いがけず快く応じてくれ、顔合わせは日曜の午後、美咲の実家でということに決まった。
通話を終えた美咲は、胸の鼓動が早まっているのを自覚する。
現実が、いよいよ動き出したのだ。