秘めた恋は、焔よりも深く。
「今日は、ありがとうございました。コーヒー、ごちそうさまでした」
そう言いかけたときにはすでに、龍之介が運転席から降りてきていた。
無言のまま歩き回り、助手席のドアを開ける。
そして、ためらいのない動作で、美咲にそっと手を差し伸べた。
「……ありがとうございます。」
「またあのお店、行こうと思います」
一瞬戸惑いながらも、その手を取って立ち上がると、指先から肩先まで、じんわりと熱が伝わる気がした。
手を離されると、夜の風がその余熱をあっけなく奪っていく。
「気に入ってもらえてよかった。……あの店、また行こうと思ってくれるなら、良ければ……俺も誘ってくれ」
「……はい」
夜風に頬を撫でられながら、静かにうなずくと、美咲は微笑んで会釈をした。
そして、そのままエントランスの扉を開け、自宅の明かりの中へ。
お風呂を済ませ、髪を乾かし、ベッドに潜り込む。
静かになった部屋の中、窓の外からわずかに街灯の光が差し込んでいた。
目を閉じても、すぐには眠れなかった。
(……なんだか、今日は不思議な日だったな)
龍之介と偶然、キャンプ用品店で会って。
一緒にお店に行って、コーヒーを飲んで。
いつの間にか、いろんな話をしていた。
趣味のこと、好きな映画や本、自然の中で過ごす時間のこと。
彼が思っていたよりもずっと、話しやすい人だったことに、少し驚いた。
(……それに、あんなふうに言われるなんて)
「良ければ……俺も誘ってくれ」
あのときの声が、やけに柔らかく耳に残っている。
(ただの……社交辞令、よね?)
けれど、なぜか胸の奥がぽかぽかしていた。
それは“ときめき”と呼ぶにはまだ小さすぎて、
でも、間違いなく“心が動いた”ことだけは、美咲自身にもわかっていた。
(……黒瀬さんって、不思議な人)
静かにそう呟くと、美咲はまぶたを閉じた。
今日の会話が、ふとした笑顔が、
夢のなかにまで差し込んできそうな、そんな夜だった。
そう言いかけたときにはすでに、龍之介が運転席から降りてきていた。
無言のまま歩き回り、助手席のドアを開ける。
そして、ためらいのない動作で、美咲にそっと手を差し伸べた。
「……ありがとうございます。」
「またあのお店、行こうと思います」
一瞬戸惑いながらも、その手を取って立ち上がると、指先から肩先まで、じんわりと熱が伝わる気がした。
手を離されると、夜の風がその余熱をあっけなく奪っていく。
「気に入ってもらえてよかった。……あの店、また行こうと思ってくれるなら、良ければ……俺も誘ってくれ」
「……はい」
夜風に頬を撫でられながら、静かにうなずくと、美咲は微笑んで会釈をした。
そして、そのままエントランスの扉を開け、自宅の明かりの中へ。
お風呂を済ませ、髪を乾かし、ベッドに潜り込む。
静かになった部屋の中、窓の外からわずかに街灯の光が差し込んでいた。
目を閉じても、すぐには眠れなかった。
(……なんだか、今日は不思議な日だったな)
龍之介と偶然、キャンプ用品店で会って。
一緒にお店に行って、コーヒーを飲んで。
いつの間にか、いろんな話をしていた。
趣味のこと、好きな映画や本、自然の中で過ごす時間のこと。
彼が思っていたよりもずっと、話しやすい人だったことに、少し驚いた。
(……それに、あんなふうに言われるなんて)
「良ければ……俺も誘ってくれ」
あのときの声が、やけに柔らかく耳に残っている。
(ただの……社交辞令、よね?)
けれど、なぜか胸の奥がぽかぽかしていた。
それは“ときめき”と呼ぶにはまだ小さすぎて、
でも、間違いなく“心が動いた”ことだけは、美咲自身にもわかっていた。
(……黒瀬さんって、不思議な人)
静かにそう呟くと、美咲はまぶたを閉じた。
今日の会話が、ふとした笑顔が、
夢のなかにまで差し込んできそうな、そんな夜だった。