秘めた恋は、焔よりも深く。
美咲は急がず、物件探しに慎重になって、2週間が過ぎた。
「佐倉さん、少しお時間いただけますか?」
落ち着いた声に振り向くと、松田専務が優雅な微笑みを浮かべて立っていた。すでに彼の隣には封筒に入った資料が用意されている。
「このあいだお話していた件ですが、取引先から紹介された物件の中に、ぜひ一度ご覧いただきたいものがありまして」
「……そうなんですね」
美咲はやや驚きながらも、資料を受け取り目を通した。駅からのアクセスもよく、静かな住宅街。写真を見る限り、外観も内装も落ち着いている。確かに悪くない。
「週末、お時間いただけませんか。現地でご案内しますよ。せっかくの機会ですし、帰りにゆっくりお茶でも」
さらりと、まるで散歩にでも誘うかのように。
その口調には余裕があったが、視線の奥にある“真意”には気づかないふりが難しい。
(……もしかして、これは、単なる物件案内以上の意味?)
けれど、美咲は微笑を崩さなかった。むしろ、その場であたふたする方が失礼に思えた。
「わざわざお気にかけていただき、ありがとうございます。せっかくご紹介いただいた物件ですし、拝見させていただきますね」
「それはよかった。週末、車をご用意します。ご自宅までお迎えにあがりますよ」
「……いえ、あの、それは……現地集合で」
「……ふふ、承知しました」
美咲の静かな牽制に、松田は少しだけ口角を上げた。まるで、その反応も予想していたかのように。
「佐倉さん、少しお時間いただけますか?」
落ち着いた声に振り向くと、松田専務が優雅な微笑みを浮かべて立っていた。すでに彼の隣には封筒に入った資料が用意されている。
「このあいだお話していた件ですが、取引先から紹介された物件の中に、ぜひ一度ご覧いただきたいものがありまして」
「……そうなんですね」
美咲はやや驚きながらも、資料を受け取り目を通した。駅からのアクセスもよく、静かな住宅街。写真を見る限り、外観も内装も落ち着いている。確かに悪くない。
「週末、お時間いただけませんか。現地でご案内しますよ。せっかくの機会ですし、帰りにゆっくりお茶でも」
さらりと、まるで散歩にでも誘うかのように。
その口調には余裕があったが、視線の奥にある“真意”には気づかないふりが難しい。
(……もしかして、これは、単なる物件案内以上の意味?)
けれど、美咲は微笑を崩さなかった。むしろ、その場であたふたする方が失礼に思えた。
「わざわざお気にかけていただき、ありがとうございます。せっかくご紹介いただいた物件ですし、拝見させていただきますね」
「それはよかった。週末、車をご用意します。ご自宅までお迎えにあがりますよ」
「……いえ、あの、それは……現地集合で」
「……ふふ、承知しました」
美咲の静かな牽制に、松田は少しだけ口角を上げた。まるで、その反応も予想していたかのように。