君と青空
『この先生なら……この男の人なら……この“人”なら……』信じてみてもいいかも……いや、信じなきゃ。
こんなに私の事を想ってくれていた二田先生を
『小学校のトラウマ』、『苦い経験』ごときで
どんな先生かどんな男の人かどんな“人”か
決めつけて勝手に嫌って、勝手に信じないで。
どんなに酷いことをしたのだろう。
ごめんなさい。
「……………………裕樹さんが好きだっていうことが広まってから……、」
「…………ゴミを置かれたり毎日のように陰口を言われたり、運動のことで言われたり…………」
「か…」
顔の事で侮辱されたってことは………………やっぱ無理。
声に出すのも嫌。
自分の1番の欠点を1番のコンプレックスを相手に侮辱され軽蔑され。
こんだけでも私の高いプライドを踏み躙っているのに……。
これだけは誰にも言いたくない。
「『か』?どしたの?」
「あ……いや、ちょっと……なんにも……です…………、」
「先生、アイツらに怒りたいんだけど。」
「だっ、大丈夫です、やめてください…酷くなるだけです……」
「そうか……」
「…………多分今日奈が言った以上のことされてるんだろう。」
「辛かったなぁ。」
「……………………でも裕樹のこと好きってバレたってどうせ日奈、周りに気を使ってノリで言ったんだろ?」
「え…………どうして……?」
すると二田先生は真剣な私を想いやる表情から、いつもの笑顔になって
「どんな先生でも生徒のことよく見てるぞ。」
「日奈は明るいフリして本当は人以上に敏感で悩みやすくて自分で溜め込みやすいこと知ってるぞ。」
「そして相手の為ならなんでも尽くす優しさ。」
「日奈は学校は辛いだろう。行くのも苦痛だろう。」
「家でもきっと嫌なことあるだろう。」
「でもな、日奈。これだけはわかってくれ。」
「日奈。お前はたとえ誰からも大切にされてなくて誰も信じれないとしても、先生が1番の味方だからな。」
窓からはいつのまにか雲一つない晴天が広がっている。
すると二田先生はみんなの前ではしないような本心からのとびきりの笑顔を作った。
「日奈。」