うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る
鳥の声と、テントの外から差し込むやわらかな光。
私はゆっくりと目を開けた。

「……ん……」

ぼんやりとまぶたをこすりながら、隣を見ると――
もう起きていた海龍くんと、目が合った。

「おはよう、凪」

低くて優しい声。
まだ寝起きでぼーっとしている頭に、ふわっと響いた。

「おはよう……」

そう返したとき。
気づいた。

私の右手が、あたたかい何かに包まれている。
――海龍くんの手だった。

しっかりと、でもそっと。
手を、握られていた。

「えっ……え……?」

驚いて見つめる私に、彼はふっと微笑んだ。

「寝てる間に、握ってきたのは凪のほうだよ」

「うそ……」

「ほんと。可愛かった」

そう言って、少しだけ指を絡めてくる。
恥ずかしさと、くすぐったさで、胸がいっぱいになった。

「……もう、先に起きてるなら、起こしてよ」

「いや、もう少しこのままでいたくて」

「……っ、ずるい」

テントのなかに、優しい朝の空気が流れていく。

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