ringには紅茶を添えて
不意に彼がそう言った。淡々と。
「指輪?」
「そう、俺たちの指輪だ」
小さなテーブルの上でぎゅうっと両手を握られて思わず頬を染めてしまった。心臓がバクバク言いはじめる。

「突然だね」
「そうでもないさ。
俺たちが作った指輪をしているひとがたくさんいる。
俺たちの番が来ただけだ」
「私に……指輪だなんて」
「おまえの白くて細い指に似合う指輪にしよう」

彼の目に熱が浮かんでいる。紅茶色の熱が。その真剣な眼差しに吸い込まれそうになって必死でまばたきをしていたら、
唇にそっとキスをされた。
くちゅ、と蜜の絡まる音がする。甘い、とても甘い。氷砂糖とクリームの甘さ。紅茶の甘さ。(恋の甘さ)
握られた手がじんじん熱い。指先がふるえる。しびれる -

「おまえのデザインと俺の技術なら、世界一素晴らしい指輪が出来る」
「せ、世界一、なんておおげさっ」
「そうでもないさ」
手が汗ばんで来た。潤ったはずの口の中がかわいて来る。心臓が痛い。はしり出す。きみに向かって。

「プロポーズしているんだ。気付かないのか」
「きっ、き、きづいてるっ」
「良かった」
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