もう女じゃないなんて、言わせない

第2章 揺れる心

飲み終わって、お店を出た。

夜風が少しだけ涼しくて、熱のこもった身体にちょうどよかった。

私は財布をバッグにしまいながら、東條に聞いた。

「もう一軒、行く?」

居酒屋のネオンが遠ざかる。

いつもなら「行くか」と即答する東條が、今夜は違った。

「……しばらく、歩かない?」

その言葉に、私は小さく頷いた。

うん。

それだけで、二人は並んで歩き出した。

駅から少し離れた、夜の商店街。

シャッターが降りた店々を横目に見ながら、私たちは肩を並べて歩いた。

東條の歩幅に自然と合わせると、彼の肩が少しだけ私に触れた。

……近い。
いつもよりも、ほんの少しだけ近くに感じる。

「優香ってさ、出会い系とか登録しないの?」

ふいに、東條が言った。

「出会い系?」

「ああ。なんか、そういうのあるじゃん。真面目な婚活っぽいやつとか、カジュアルなやつとか。」
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