もう女じゃないなんて、言わせない
「だから女って、いい意味で“覚悟”してるのかもね。」

東條が届いた塩辛を箸でつつきながら、真面目な顔をした。

しばらくの沈黙の後──

「ところでさ。」

彼がふと声を落とす。

「一年セックスしてないのって、俺のせいだったりする?」

私はメニューから顔を上げた。

笑ってるようで、まっすぐな視線。からかい半分、本音半分――いや、それ以上かもしれない。

「……どうだろうね。」

そう言って、私は少しだけ微笑んだ。

はぐらかしたつもりだったのに、胸の奥がじんわり熱くなる。

その沈黙を破るように、東條が静かに続けた。

「もしそうなら、責任取らなきゃなって思って。」

「……責任って、どう取るつもり?」

問い返した声は、少しだけ震えていた。

「そりゃあ……ちゃんと、優香を満たすこと。」

冗談みたいな顔で言うくせに、目は本気だった。
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