もう女じゃないなんて、言わせない
私は小さく笑った。

東條の言葉が無邪気で、ちょっと子供みたいだった。

「……一回、登録したことあるよ。」

「マジ?」

「うん。でもね、あれって結局“体”しか求められないの。」

そう、メッセージの最初の数行はまともでも、すぐに“夜の話”になる。

食事もせずにホテル直行。そういう“関係性のない関係”に、心が乾いていった。

「セフレが欲しいなら他を当たって、って何度思ったか。」

「……そっか。」

東條の声が少しだけ低くなった。

優しさとも、後悔ともつかない色が混じっていた。

「寂しい時に人肌が恋しくなるのって、男女問わないと思うけど……女ってさ、それだけじゃ満たされないんだよね。」

「……うん。分かる気がする。」

そう言った東條の手が、そっとポケットの中で拳を握るのが、視線の端で見えた。

沈黙が落ちた。

でも、心地悪くはなかった。

どこか静かで、穏やかな……でも確実に何かが変わり始める予感。
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