もう女じゃないなんて、言わせない
ただ、心の中で問いが渦巻いていた。

――悠真に、今夜抱かれてしまったら。

――明日から、もう会えなくなったら?

――この人の、何気ない表情も、ふざけた冗談も、もう聞けなくなったら?

それが怖かった。

心も体も、全部預けてしまったら、私はもう、この人なしではいられなくなる。

「……どうして泣くの?」

悠真が、私の頬に触れる。

その指先は、私の涙の温度に、少しだけ驚いたようだった。

「優香、優しくするから。」

布団の中、悠真がそっと言った。

その声はあたたかくて、触れたらすぐに崩れてしまいそうなほど繊細で。

私は、彼を見つめた。

息を吸い込んで、言葉を探す。

「……怖いんじゃないの。」

それは半分、本音で。半分は嘘だった。

「だったらどうして……」

そう言いかけた悠真の声を遮るように、私はそっと彼の首筋に顔を埋めた。
< 23 / 54 >

この作品をシェア

pagetop