もう女じゃないなんて、言わせない
シャワーを浴び終えた私たちは、バスタオルを巻いたまま、静かにベッドに並んだ。

明るすぎない照明の中、肌と肌の距離が、ほんのわずかずつ近づいていく。

「……悠真。」

名前を呼ぶと、彼がそっと私を見下ろした。

その視線が優しくて、でもどこか獣のように真剣で。

胸の奥がじんわりと熱くなった。

体が、震える。

寒いわけじゃない。

怖いわけでもない。

ただ――これは、もう止まらない。

お互いの唇が、ゆっくりと重なった。

やわらかくて、でもどこか切なくて。

触れただけで、張り詰めていた心の膜が、ふわりと溶けていくようだった。

そうよ。

もう若くないんだもの。

できる時にしなきゃ、想いを交わすチャンスなんて、そう何度も来るわけじゃない。

でも……

悠真の唇が、ふと私の唇から離れた瞬間――
溢れてしまった。

ぽたり、と。

涙が、頬を伝って零れた。

「……優香?」

彼が小さく囁く。
でも私は、何も言えなかった。
< 22 / 54 >

この作品をシェア

pagetop