もう女じゃないなんて、言わせない
悠真は私の手には触れず、でもいつものように気取らない笑顔で言った。

「こっち。」

そう言って歩き出した。

てっきり、いつものように居酒屋に向かうと思っていた。

だけど、彼が足を止めたのは――白い外壁の、落ち着いた雰囲気のレストランだった。

「……ここ?」

「うん。たまには、こういうのもいいかなって。」

「……飲み屋じゃないんだ。」

「今日は……そういう気分じゃない。」

そう言った悠真の声が、少しだけ低くて、照れくさそうで。

だけど確かに、“何か”が前とは違っていた。

まるで、今日はただの“飲み友達”じゃない。

そんな風に彼が、私を誘ってくれたような気がした。

ドアを開けて、二人でレストランの中に入る。

淡い灯りと静かな空間。

私のスカートも、悠真のジャケットも、ここにはよく馴染んでいた。

でも――

もしかしたら、意識していたのは私だけだったのかもしれない。

そんな不安がよぎったのは、料理を待っていた時だった。
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