もう女じゃないなんて、言わせない
悠真のスマホが、軽く震える。

何気なく画面が目に入り、そこに見慣れた名前が表示された。

『舞花ちゃん(23)からメッセージが届いています』

……また、出会い系。

「まだやってるんだ。」

声に出してしまった瞬間、自分でも驚いた。

でも、それはもう、思わずだった。

悠真は一瞬だけ目を伏せて、それから何も言わずにスマホを裏返した。

「はいはい、定期的に出さないと、男は“貯まる”んですもんね。」

皮肉混じりの言葉が、自分の口から出たことに、あとで後悔しそうだと思った。

私は気をそらすように、テーブルに置かれたメニュー表を開いた。

見れば、ちょっとお高めのコース料理に、ワインの価格もなかなかのもの。

「……ねえ、ちょっとここ高くない?」

ようやく話を変えたつもりだったのに、悠真は咳ばらいをして、視線を合わせないまま呟いた。

「……俺の奢りだから、心配するな。」
< 29 / 54 >

この作品をシェア

pagetop