あなたのヒーローになりたい。けど、まだなれないよ?
「Pourquoi j'en dois faire. Je ne comprends pas. Jamais jamais.
(「なんで私がこんなことを。わからない。絶対にわからない」)
(あ、フランス語で文句言ってる)
いそがしさの合間、我がオフィスでは手の空いた者から昼食をとる。
ここは東京丸の内にある高層ビルの34階。外資系企業の広報。窓の外には真夏の日差しを浴びキラキラ光るスカイスクレイパー。窓際のゴムの木もツヤツヤしている。(可愛い後輩はノートパソコンの前で腐っている)
「大丈夫ですか」
早々に午前中の仕事を終えた俺は、持参してきたあたたかい紅茶を飲んでいる。ヌワラエリヤ。ほんの少し蜂蜜を落とす。元気のもと。
「大丈夫じゃないです」
こっくりと赤い蜂蜜色のセミロングの髪。毛先を軽やかにカールさせた細身の彼女は可愛い顔をゆがめて俺を見る。大人しそうな外見なのに、ものをはっきり言うから助かる。帰国子女だからだろうか。
(その分、敵も多いけど)
「どうしてここにブランクが入らないんですか」
「タグ見直してみてください。ちょっと画面見せていただいても良いですか?」
「余計なところ見たら訴えますよ」
「はい、はい」
蜂蜜みたいなもったりした鼻声ですごむ後輩をなだめ、俺はタグを見てみる。案の定。
「ここ、タグちゃんと閉じていませんよ」
「知ってました」
(やれやれ」
強気な彼女にため息をつきつつ、やっぱり可愛いな、と思ってしまう。新入社員に一目惚れなんて俺も大概だな。
「Merci」
そっぽを向いてそうつぶやいた彼女を見て、俺は思わず笑ってしまった。小さな声で。
(「なんで私がこんなことを。わからない。絶対にわからない」)
(あ、フランス語で文句言ってる)
いそがしさの合間、我がオフィスでは手の空いた者から昼食をとる。
ここは東京丸の内にある高層ビルの34階。外資系企業の広報。窓の外には真夏の日差しを浴びキラキラ光るスカイスクレイパー。窓際のゴムの木もツヤツヤしている。(可愛い後輩はノートパソコンの前で腐っている)
「大丈夫ですか」
早々に午前中の仕事を終えた俺は、持参してきたあたたかい紅茶を飲んでいる。ヌワラエリヤ。ほんの少し蜂蜜を落とす。元気のもと。
「大丈夫じゃないです」
こっくりと赤い蜂蜜色のセミロングの髪。毛先を軽やかにカールさせた細身の彼女は可愛い顔をゆがめて俺を見る。大人しそうな外見なのに、ものをはっきり言うから助かる。帰国子女だからだろうか。
(その分、敵も多いけど)
「どうしてここにブランクが入らないんですか」
「タグ見直してみてください。ちょっと画面見せていただいても良いですか?」
「余計なところ見たら訴えますよ」
「はい、はい」
蜂蜜みたいなもったりした鼻声ですごむ後輩をなだめ、俺はタグを見てみる。案の定。
「ここ、タグちゃんと閉じていませんよ」
「知ってました」
(やれやれ」
強気な彼女にため息をつきつつ、やっぱり可愛いな、と思ってしまう。新入社員に一目惚れなんて俺も大概だな。
「Merci」
そっぽを向いてそうつぶやいた彼女を見て、俺は思わず笑ってしまった。小さな声で。