「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「俺には、セレナだけだ。」

その言葉が、心に深く刻まれた。

胸の奥の不安が、少しだけ、やわらいでいく。

私はその日の夜、自室の窓辺に佇んでいた。

夜風がカーテンを揺らし、月の光が静かに部屋を照らしている。

──けれど、私の心は落ち着かない。

(もしかして、カイルの婚約者だと浮かれているのは……私だけなのでは?)

ティアナのあの気高く美しい姿。神に選ばれた者としての光。

それに引き寄せられるのは当然だ。

むしろ、カイルが彼女に惹かれない理由などあるのだろうか。

(彼が、本当に私だけを選び続けてくれるの?)

そんな不安が、波のように胸に押し寄せてくる。

人の心は、雲のように──つかもうとしても、指の隙間からこぼれてしまう。

たとえどれほど優しい言葉をかけられても、あの腕に抱きしめられても。

未来を、永遠を、誓ってもらえたわけではない。
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